
院長:長田お気軽にご相談ください!

院長:長田お気軽にご相談ください!
こんにちは。上のお子さんが側弯症と診断されて、「下の子は大丈夫かな…」とドキドキしながらこのページを開いてくださった方、いらっしゃいますか?


もしかしたら、お母さん自身も「私も昔、背骨が少し曲がってるって言われたことがある」という経験をお持ちかもしれません。
思春期特発性側弯症と遺伝の関係、気になりますよね。「特発性」って「原因不明」という意味なのに、なぜか家族の中に何人もいる——そのモヤモヤ、今日すっきり整理していきましょう。


「遺伝が原因かも」という不安を抱えたまま、ただ経過観察を続けるのはもったいないと思っています。遺伝的な背景があるからこそ、早めに動ける。その視点をぜひ持ってほしくて、この記事を書きました
「特発性(とくはつせい)」という言葉は、「はっきりした原因がひとつに特定できない」という意味です。だから「遺伝は関係ない」と思ってしまう方も多いのですが、それは少し誤解があります。
実は、思春期特発性側弯症(AIS:Adolescent Idiopathic Scoliosis)は「多因子遺伝疾患」に分類されています。
ひとつの遺伝子だけで発症するわけではなく、複数の遺伝的な素因が重なり、そこに環境的な要因や成長のタイミングが加わって発症すると考えられています。
つまり、「遺伝子がすべてを決める」わけでも、「遺伝とは全く関係ない」わけでもない。その中間にある、グラデーションのような疾患なのです。
研究によると、一般の方と比べて、側弯症の家族歴がある場合、発症リスクは数倍から十数倍高まると報告されています。一卵性双生児での一致率が66%を超えるというデータもあり、遺伝的な関与を無視できないことは明らかです。
「お母さんも若いころ言われた」「姉妹のどちらかが診断された」——そういうご家庭では、他のお子さんも注意深く見ていく必要があります。
ただ、ここで大事なのは「リスクが高い=必ず発症する」ではないということ。遺伝的な素因があっても発症しない方もたくさんいますし、発症しても早期に対処すれば進行を最小限に抑えることができます。
思春期特発性側弯症が厄介なのは、痛みがほとんどないまま進行するという点です。特に成長スパートと呼ばれる急激に身長が伸びる時期——女子なら小学校高学年から中学生にかけて——は、骨格が柔らかく、カーブが急激に進みやすい。
「なんとなく肩の高さが違う」「服のえりがずれやすい」「立ち姿が傾いて見える」。そんな小さなサインに気づけるかどうかが、その後の経過を大きく左右します。
Cobb角(コブ角)という脊柱のカーブを測る指標で20度を超えると装具療法の対象になり、45度を超えると手術を検討する段階になります。早期に発見して10度、15度のうちに対応できれば、選択肢はぐっと広がります。
医療機関に行く前に、まずご自宅で確認してみましょう。整形外科や小児科でも行われる「アダムス前屈テスト」というチェック法があります。
お子さんに足をそろえてまっすぐ立ってもらい、腕を下に垂らした状態でゆっくりと前に体を曲げてもらいます。その状態で背中を横から見たとき、左右どちらかの肋骨や腰の筋肉が盛り上がっていればカーブのサインかもしれません。
もうひとつ、後ろから肩の高さ・肩甲骨の位置・腰のくびれの左右差を見てみてください。ウエストラインの非対称は見つけやすいチェックポイントのひとつです。
あくまでも目安であり、「異常なし=絶対に大丈夫」ではありません。家族歴がある場合は、セルフチェックの結果にかかわらず、一度専門家に診てもらうことをおすすめします。
側弯症はどうしても「背骨が曲がっている」というイメージで語られがちです。
でも、実際に多くのお子さんを診てきた経験から言うと、背骨のカーブを下から支えている下半身のアライメント(骨格の位置関係)が乱れていることが、問題をより複雑にしているケースが非常に多いのです。
骨盤が傾いていたり、左右の足のアーチの高さが違っていたり、膝の向きがそれぞれ少しずつずれていたり——そういった足元・下半身の歪みが、脊柱全体の傾きに影響を与えています。
家を建てるときに例えると、わかりやすいかもしれません。どれだけ上の構造をきれいに作っても、土台が傾いていれば建物全体が歪んでしまう。体も同じです。
足のアーチが崩れると、歩くたびに足首・膝・股関節へと力が不均等に伝わっていきます。そのズレが骨盤の傾きに波及し、最終的には脊柱のバランスにまで影響を及ぼすのです。
「扁平足だと言われているけど、関係ある?」「左右で足の形が違う気がする」——そういった足元の気になる点が、実は背骨の問題と深くつながっていることがあります。
側弯症の進行を抑えるためには、背骨そのものへのアプローチと同時に、足元から全身のアライメントを整えていく視点がとても重要です。
私はカイロプラクティックの施術に加えて、オーダーメイドインソールの作成にも長年携わってきました。
SIDAS社(フランス)の研修を現地で受け、スキーやフィギュアスケート・陸上・サッカーなどさまざまな競技のアスリートたちの足元をサポートしてきた経験があります。
側弯症のお子さんに対しても、足底からのアプローチは有効な選択肢のひとつです。
その子の足の形・重心のかかり方・歩行パターンを細かく分析したうえで、個別に作成したインソールを使用することで、立ち姿勢・歩行時のバランスを改善し、脊柱にかかる不均等な負荷を軽減することができます。
「インソールで側弯症が治る」とは言いません。ただ、体全体を下から支える土台を整えることで、カイロプラクティックの施術効果をより安定させ、日常生活の中でも良い姿勢を保ちやすい体をつくるサポートができると考えています。
ここで少し視点を変えてみてほしいのです。「自分のせいで遺伝させてしまったのかも…」と感じているお母さんへ。その気持ち、すごくよくわかります。
でも、家族歴があることを知っているということは、知らない家庭よりずっと有利な立場にあります。「うちの子は気をつけて見ておかなきゃ」と意識できる。定期的にチェックできる。少しでも気になったらすぐ動ける。
これは本当に大きな強みです。
ひとりが診断されたご家庭では、他のお子さんについても、成長期に入ったタイミングで専門機関に相談することをおすすめします。特に女子は、初経の前後2年間が最もカーブが進みやすい時期です。
年に1回、成長の節目のタイミングで姿勢チェックをする習慣をつけておくと安心です。学校の健診で「異常なし」だったとしても、家族歴があるなら自主的に診てもらう価値があります。
思春期特発性側弯症と遺伝の関係は、「ある」とも「ない」とも言い切れないグレーゾーンにある問題です。だからこそ、「原因不明だから仕方ない」ではなく、「リスクを知っているから先手を打てる」という考え方で向き合ってほしいと思っています。
そして、背骨だけを見ていても不十分なことがある。足元から脊柱まで、体全体をひとつのつながりとして捉えてアプローチしていく——それが私の考え方です。
遺伝的な素因があったとしても、早期発見・早期対処で多くのケースは進行を抑えることができます。大事なのは、「気になったときにすぐ行動できるか」です。
ひとりで抱え込まないでください。「うちの場合はどう?」「これって側弯症のサイン?」そんな些細な疑問でも、いつでも気軽に相談しに来てください。

