
院長:長田お気軽にご相談ください!

院長:長田お気軽にご相談ください!
学校の健康診断で「側弯症の疑いがあります」と告げられた。そんなお知らせを手に帰宅したとき、頭の中はきっといろんな疑問でいっぱいだと思います。


「うちの子、体育に出てもいいの?」「装具をつけたまま学校に行かせるべき?」「部活は続けられる?」——答えが見えないまま、モヤモヤした気持ちを抱えていませんか?
思春期特発性側弯症と診断されたお子さんをお持ちの親御さんからのご相談が、当院にも増えています。
「整形外科で診てもらったけど、体育についての話があまりなくて…」という声をよく聞きます。治療方針の説明はあっても、日常生活の細かいことまでは教えてもらえないことが多いのが現状です。
今日は、側弯症の診断後に多くの方が抱える「体育・学校活動」への疑問に、ひとつひとつお答えしていきます。


側弯症は背骨の問題に見えますが、それを支える下半身のバランスが乱れていることが根本にあるケースが多い——足元からアプローチするのが私のスタンスです
思春期特発性側弯症と診断されると、多くの方が「とりあえず見学させておこう」と考えがちです。でも実際には、診断を受けたすべてのお子さんが体育を見学しなければならないわけではありません。大切なのは、コブ角という数値と、現在の治療段階に合わせた判断をすることです。
側弯症の重症度を表すのが「コブ角」という角度です。整形外科でのレントゲン検査後に受け取る説明書や診断書に記載されているはずなので、まず確認してみてください。
| コブ角の目安 | 学校活動における基本的な考え方 |
|---|---|
| 20度未満(軽度) | 基本的に参加制限なし。経過観察を続けながら普通に活動できる |
| 20〜40度(中等度) | 装具治療を行いながら参加できるケースが多い。種目によって主治医と相談 |
| 40度以上(高度) | 主治医・学校・家庭が連携して個別に判断する必要がある |
学校健診で「要受診」「要観察」と言われた段階のお子さんのほとんどは、まだ軽度から中等度の範囲です。コブ角が20度未満であれば体育への参加に制限を設ける必要がないことがほとんどです。いきなり見学という選択は必ずしもベストとは言えません。
装具治療を始めたお子さんをお持ちの親御さんからよく聞く疑問が「体育中も着けたままでいいのか、外していいのか」というものです。
結論から言えば、体育の授業中は装具を外して参加することが、多くの場合で主治医から許可されています。体育の動きの中でコルセットをしたままでは、安全に動くことが難しいからです。
ただし、装具治療の効果は1日の装着時間の合計に比例します。体育の時間だけ外すのは許容範囲ですが「面倒だから外したまま」が続くと治療効果は落ちます。体育のある日は放課後や就寝中の装着で補うという意識が治療を確実に進めるうえで大切です。
ここが、私が最も伝えたいことです。背骨が曲がっているから「背骨の問題」と思われがちですが、実際にはそれを支えている下半身のアライメント(骨格の配列)が乱れていることが、根本的な原因になっているケースが非常に多いのです。
体は足元から積み上げられた構造物です。土台となる足のアーチが崩れていたり、骨盤の傾きに左右差があったりすると、それを補正しようとして背骨が余分な負担を受け続けます。
思春期特発性側弯症のお子さんを拝見すると、足のアーチ構造に左右差があるケースや、歩き方や重心の偏りが目立つケースが少なくありません。「背骨で起きていることを、足元から整えていく」というアプローチが、側弯症のケアにおいても重要な視点です。
私の専門のひとつに、フランス・シダス社の認定を受けたオーダーメイドインソールの作成があります。スポーツ選手への施術を通じて長年実感してきたのは、足元のバランスを整えることで、体全体のアライメントが変わっていくということです。
毎日の通学・日常生活の中で、崩れた重心のまま何千歩も歩き続けることが、脊柱への非対称な負担を蓄積させていきます。インソールでその負担を分散・軽減することは、側弯症の進行を抑えるうえで、装具と並んで取り組む価値のあるアプローチです。
参加すること自体は多くの場合で問題ありません。ただ、側弯症のお子さんが意識しておきたい「動き方の注意点」はあります。正直にお伝えします。
思春期特発性側弯症では、背骨がすでに左右非対称にねじれた状態にあります。そこにさらに一方向への強い回旋や負荷が繰り返しかかると、カーブの進行リスクが高まる可能性があります。
具体的に気をつけたいのは、テニス・野球・バドミントンのように片腕で強く打つ・投げる動作の繰り返し、体操や新体操のように脊柱に強い反りや捻りを要求される種目です。これらを「絶対禁止」と言いたいわけではありませんが、主治医や施術者、体育教師の三者が情報を共有したうえで判断することが理想的です。
意外と知られていませんが、水泳は側弯症のお子さんにとって相性のよい運動のひとつです。水中では浮力によって脊柱への重力負荷が軽減され、体幹全体をバランスよく使うきっかけになります。ただし、クロールや平泳ぎのフォームによっては片側に動きが偏ることもありますので、泳ぎ方には目を向けてあげてください。
側弯症と診断されたことを学校に伝えるとき、「どこまで話せばいいかわからない」「先生にどうお願いすればいいか」と戸惑う親御さんは多いです。担任・養護教諭・体育教師それぞれに、伝えるポイントが少し異なります。
最初に相談すべき相手は養護教諭です。病院から受け取った診断書やお知らせのコピーを持参すると話がスムーズです。伝えておきたい内容は、現在の病名と治療内容(装具治療中か経過観察中か)、体育中は装具を外してよいと主治医から許可されていること、着替えの際のプライバシーへの配慮をお願いしたいこと、定期的に受診しており変化があれば報告すること、の4点です。「特別扱いをしてほしい」ではなく「正確な情報を共有したい」というスタンスで伝えると、学校側も動きやすくなります。
「側弯症です」という一言だけでは、体育教師も対応に困ります。「装具治療中ですが体育への参加は許可されています。激しい体幹の回旋を伴う種目は様子を見ながら進めたいので、必要に応じて見学や別メニューへの切り替えを柔軟に判断していただけると助かります」と、具体的なお願いとして伝えるのがベストです。
ここまで読んでいただいて、側弯症と運動の関係が少し整理されてきたでしょうか。スポーツ選手たちを20年以上サポートしてきた立場から言わせてください。「動くことをやめる」ことは、かならずしも体にとってよい選択ではありません。
背骨を支えている体幹の筋肉が弱くなると、脊柱を安定させる力が落ちて、側弯の進行リスクが高まります。最近では「シュロス法」と呼ばれる運動療法が思春期特発性側弯症に対して注目されており、側弯の形状に合わせた三次元的な体幹トレーニングが進行抑制に有効とされています。
「体育をやめれば安全」という発想より、「どう動くか」を考えることの方が、お子さんの体にとってずっと大切なことです。
オーダーメイドインソールで足元のバランスを整えると、歩き方や立ち方の左右差が改善され、体幹が本来の使い方に近づいていきます。
「背骨を矯正する」という方向だけでなく「下半身のアライメントを整えて、背骨にかかる余分な力を減らす」という方向からのアプローチは、成長期のお子さんにとって特に意味のある取り組みです。当院では、この足元からの視点を側弯症のケアに取り入れています。
整形外科で「まだ軽度なので様子を見ましょう」と言われた場合、安心してそのまま何もしない、という選択をされる方が少なくありません。でも、思春期は脊柱の変形が最も進みやすい成長期です。待つだけでなく、今できることを積み重ねることが将来の手術リスクを減らすことにつながります。
具体的には、姿勢習慣の見直し、体幹バランスのトレーニング、そして足元のアライメント調整の3つです。これらは特別な設備がなくても、日常生活の中で少しずつ取り組めることです。難しく考える必要はありません。まず「毎日の重心がどこにかかっているか」を意識することから始めてみてください。
思春期特発性側弯症は、正しい知識と適切なケアがあれば、体育も部活も、普通の学校生活もあきらめる必要はありません。「背骨の問題だから仕方ない」と思う前に、足元から全身のバランスを整えるアプローチを試してみてほしいのです。
「これって大丈夫なのかな」と思ったこと、一人で抱え込まないでください。どんな段階でも一緒に考えることができます。いつでも気軽にご相談ください。

